はじめに

縁あって、平成6年鹿児島の西田橋の解体復元計画調査に始まり、平成12年復元工事も終わり資料展示館の竣工に至るまで、石橋移設復元事業のお手伝いをさせていただく機会を得ました。コンサルタントを生業にしていても、同一の関連業務に足掛け7年継続させてもらえることはまずありません。
石橋というその対象も稀なものですが、仕事に挑む環境でも、非常に稀なものでした。7年間には色々なことが起こります。石橋についても色々考えさせられ、調べるさせられるうちに、それなりのことが分かったような気にもなります。ここではそのいくつか紹介したいと思います。

先ず、いえることは
「石橋は誤解(歴史、強度他諸々)されている。」ことです。
石橋を守る会の会員はじめ、鹿児島の石橋の集会、直接投票の署名、地方で石橋シンポジウムが開かれると会場が満員の盛況など、石橋の熱烈なファンは多く、写真集や物語も多いのですが、石橋の研究となると全く少ない状況にあります。  これは、@石橋が過去のものとされている A石橋が産業として成り立っていないため、大学はじめ行政、建設業界などによる日常的な研究は全く期待できない B石橋建設当時の資料が元々少ないところに、その資料も逸散している、など考えられますが、結果、今回のような事業に出くわさないと金輪際調べる機会はないのではないでしょうか。
誰も気にしなかった分野をのぞいてみると楽しいことがたくさんと、常識との差が気になりました。

次に、石橋の特性を調べるほど
「自然と調和し、自然の理に適う、先人の工夫と知恵」に驚くのですが、その奥義は、まさに現代の様々な問題に対し、出番を待つかのようです。
しかし、石橋の位置づけが位置づけですから、「石橋の誤解」などと悠長なことを言っているだけでは、石橋の有益な特性がみすみす使われない、振り返られることもないと危惧し、このCDを思いつきました。CDを作ったからどうこうなるわけでもないとは思いますが、近く、道路橋示方書が性能基準に改定されることを知り、密かに可能性を期待しているものです。石橋が正当な評価を得、社会が多くのものを得るのに役立てば喜びです。


平成12年3月
ほつま工房 迯目英正